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未成年者の誘拐について

最近,ニュースを見ていると,インターネット交流サイト(SNS)で知り合った未成年の女子生徒を自宅に寝泊まりさせたとして,未成年者誘拐容疑で男性が逮捕されたという事件を2回ほど耳にしました。

 

一般的に「誘拐」というとだましたりあるいは無理やり連れて行ったりするイメージがあります。

しかし,先ほど挙げたニュースだとSNSで知り合った女性を無理やり連れてきたわけでもないようですので,一般的にイメージする「誘拐」とあわないような気がします。

しかし,このような場合でも未成年者略取及び誘拐罪は成立する可能性があります。

 

刑法224条では,未成年者を略取し,又は誘拐した者は,3月以上7年以下の懲役に処するとされています。

ここで,略取とは,暴行・脅迫をして連れていくことをいい,誘拐とはだましたり,誘惑したりして連れていくことをいいます。

 

先ほど挙げたニュースでは,未成年者の同意のもとで自宅に寝泊まりさせていたように思えるのですが,未成年者が同意していたとしても略取・誘拐罪が成立する可能性があります。

それは,未成年者略取・誘拐罪の保護法益が,基本的には誘拐された人の自由であるが,その保護者の監護権も保護法益であると考えられているからです。

そのため,未成年者の同意を得ていたとしても,保護者の同意を得ていないので,保護者の監護権を侵害したとして未成年者略取・誘拐罪が成立する可能性があります。

また,未成年者の同意があるといっても,言葉巧みに同意をとったにすぎず,そのような同意は無意味であるという考え方もありえます。

 

このように,未成年者から同意を得ていたとしても,未成年者略取・誘拐罪が成立することはありえます。

したがって,先ほど挙げたニュースのようなことは絶対に行うべきではなく,万が一,このようなことを行って逮捕された場合には,極めて重い罪が科せられる可能性もあります。

家出をしている未成年者とSNSなどで知り合った場合には,警察に知らせるなどして保護してもらうべきであり,自分の自宅に寝泊まりさせるようなことは不適切な方法だと思います。

 

未成年者略取・誘拐罪について,ご不明な点等ございましたら,弁護士にお問い合わせいただければと思います。