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酷暑

7月に入ってから、突然、気温が上がってきており、ニュースなどでは、「危険な暑さ」「災害級の暑さ」などと報じられています。

弁護士の仕事では、以前とは異なり最近はWEB期日が増えたことにより裁判所に行く回数が減っていますが、たまに裁判所に出廷するときは、移動するだけでも体力が奪われるこの暑さは、大変です。

(特に、名古屋は、夏が暑いです。)

この暑さによる熱中症による病院への搬送も増えてきているようです。

熱中症になった際に利用できる保険というものはあるのでしょうか。

公的な保険としては、日常生活を送っている際に熱中症になって病院に行く場合は健康保険を利用し、仕事中に熱中症になった場合には、労災保険を利用することになります。

民間の保険にも、熱中症をカバーする保険があるようで、医療保険などで、入院を何日したら、一日当たり●円支払われるなどという保険が請求できるようです。

また、傷害保険などに熱中症対応を特約としてつけておけば、熱中症による通院保証などを受けられる保険も存在しているようです。

今までは、気温が上がるといっても、現在ほどの気温上昇は無かったと思います。(子供のころ、気温が上がらない朝のうちに学校の宿題をやるように言われていた記憶があります。)

ここまでの酷暑が続くようであれば、熱中症も起こる可能性が高い病気として、熱中症をカバーする保険に入っておいた方が良いのかもしれません。

もっとも、熱中症対策は、水分補給などを行い、体調管理をしておくことが最重要であるため、ニュースで言われているように、こまめな水分補給とエアコンなどによる温度調整を行いたいと思います。



車両修理について

先日、事故車両の修理費について、損害保険大手4社と自動車修理工場の業界団体との間で、自動車修理工賃の引き上げ交渉が30年ぶりに行われる予定であるとのニュースを見ました。

弁護士が交通事故に関与する際、物損に関する事件を受けることもあるので、修理代金の動向は気になるところです。

修理代金の内訳としては、主に作業工賃と部品代とで構成されています。

部品代が年々高くなっていることから修理代金が高くなっているなとは感じていなかったのですが、作業工賃は昔からあまり変わっていなかったことを報道によって知りました。

何故、30年間もの間、工賃の引き上げ交渉が行われていなかったのか?と疑問に思ったところ、1994年に公正取引委員会が日本損害保険協会に対し、工賃単価の交渉が独占禁止法違反に抵触する恐れがあるとの指摘をしたからであるという解説を見ました。

今年の3月29日に、公正取引委員会が、自動車車体整備事業者団体と損保会社との間における団体協約締結について、独占禁止法上の問題となることは無いという結論を出したことから、協議が行われるようになったとのことです。

現在、修理工場における修理待ち期間が長期化しており、なかなか修理に着工されない、着工されても時間がかかるという現状があるようです。(実際に、修理がなかなか終わらないとおっしゃる依頼者さんも多いです。)

修理の作業工賃が増額され、適正価格になっていくようであれば、修理に携わる人も増えて、現在の修理待ち期間の長期化という状態が緩和されるかもしれません。

今後も、興味をもって推移を見ていきたいと思います。



自転車事故への対応

弁護士として法律相談にのっているときに、時々聞かれるケースとして、自転車事故の場合どのように対応していけばよいのか?という点です。

自転車を運転していて、他人の物を壊した、他人に怪我をさせてしまった場合、自転車運転手としてはどのように対応すべきでしょうか。

まず、自転車事故であったとしても、交通事故にあたるため警察への連絡は必要になります。

警察への連絡を怠ると、後から説明する保険利用ができないこともあるため、注意が必要です。

では、自転車事故で使える保険とは、どのようなものがあるでしょうか。

確認すべきは、自身が入っている保険に個人賠償責任保険というものがないかどうかの確認です。

個人賠償責任保険という保険に単体で入っているケースもあるでしょうが、見落としがちなケースとして、自身あるいは家族が入っている自動車保険や火災保険に、特約としてついているケースです。

自動車保険や火災保険には、特約で個人賠償責任保険という保険がついていることがよくあります。

こちらの保険を利用することで、自転車事故を起こした場合に、相手に支払わなければならない金銭を保険会社に支払ってもらうことができる場合があります。

そのほかに、小学生・中学生・高校生の子供がいる場合、新学期に学校から案内されている総合保険(PTAなどを通じて案内されていると思います)に加入しているかどうかを確認すべきです。

今までに、自動車保険も火災保険も入っていないけれども、学校から案内されていた総合保険には加入していたという方もおられて、その保険で相手方に与えた損害を賠償できたというケースもありました。

学校から案内されている総合保険は、自分の子供の通院保証などについては意識して加入されている保護者の方は多いですが、個人賠償責任保険に意識して加入されていない方が多いようです。

そのため、この保険に個人賠償責任保険がついていることが盲点となっているケースもあるようです。

 



自賠責について

交通事故案件を扱っていると、自賠責保険の利用の仕方について聞かれることがあります。

一般的には、加害者側の保険会社が治療費の支払いをしてくれることが多いので、意識されることは少ないですが、任意保険の支払いは自賠責保険の支払額を超える部分から開始されます。

稀に、加害者が自賠責保険に加入していないが任意保険には加入しているといったケースがあり、この場合、任意保険がついているにもかかわらず、120万円を超えるまでは対応できませんなどと言われるケースがあることからもわかるように、あくまでも任意保険は自賠超過の損害を補填するものです。

では、自賠責保険の請求方法はどのようにするのでしょうか。

加害者が加入している自賠責保険会社がどこの保険会社であるのかを調査する必要があります。

これは、警察署(交番でもOK)に行き、「事故証明書を入手したいので、必要書類をください」と言えば、事故証明書を発行してもらうための書類がもらえます。

記載方法に従い記入をして、郵便局でお金を支払えば、事故証明書が自宅に届きます。

事故証明書には、加害者が加入する自賠責保険の会社名と証券番号が記載されています。

そのため、事故証明書に記載されている保険会社に電話をして、自賠責申請に必要な資料を一式送ってもらいます。

申請に必要な資料が届けば、その中に、自賠責保険の請求の仕方が記載された見本が入っていますので、それに従って請求していくことになります。

なお、治療費の請求については、一旦病院などに支払ってから、その支払った分を自賠責保険に支給していくというやり方が一般的です。

任意保険会社が支払って、被害者は窓口負担なしというやり方が一般的には取れないので、、一旦、病院などの窓口で支払わなければならないという点が、被害者にとっては不利益ではあります。

自賠責保険に直接被害者の方が請求をかけていく方法は、あまりとられていないと思いますが、直接請求をしなければならないケースもあるので、万が一の時には、上記を参考にして請求をしていただければと思います。

自賠責の請求についてご不明な点は、弁護士にご相談ください。



NASVAについて

交通事故を取り扱っている中で、一般にはあまり知られていないが、極めて重要かつ有益な組織が存在します。

この組織が、NASVAという組織です。

この組織の正式名称は、独立行政法人自動車事故対策機構といいます。

このNASVAは、自動車事故を防ぐ活動、自動車事故の被害者を支える活動、自動車事故から人を守る活動をされているようです。

このなかで、弁護士として利用させていただくケースとしては、交通事故の被害者を支える活動として行われている事業を利用するように依頼者に案内することがあります。

例えば、交通事故被害者の方で、常時介護を要する方の場合には、いろいろな条件はありますが、NASVAから介護費用の支給を受けることができます。

また、短期入院や短期入所の費用の助成制度もあります。

そして、このNASVAからの支給金は、賠償においては損益相殺の対象にならない点が大きいと考えています。

通常、公的援助を受けた場合には、加害者側保険会社から賠償金が支払われる際に、公的援助を得た分を差し引かれることになりますが、NASVAからの支給金は、賠償金から控除されない性質のお金であるため、差し引かれません。

この点が、被害者の方にとっては有益な制度ではないかと考えています。

また、様々な条件はありますが、重度の障害を負っている方の場合、療養施設への入院をして、手厚い治療や看護、リハビリを受けることができます。

中部地域では、岐阜県美濃加茂市にある中部療養センターや、愛知県豊明市にある藤田医科大学病院などがあります。

このように、重度の怪我を負った交通事故被害者の方に対して、金銭面・医療面・介護面での支援を行っている組織があります。

万が一、交通事故被害にあい、重度の怪我を負った場合には、依頼している弁護士と相談しつつ、NASVAという機関へ相談されることも検討してもよいかもしれません。



ウェブ会議

マイクロソフト社が提供しているTeamsを利用したウェブ裁判は、今まで地方裁判所や高等裁判所では行われていましたが、簡易裁判所では行われていませんでした。

そのため、簡易裁判所での期日については裁判所に実際に行くか、電話会議という方法で対応してきました。

今年になって、いくつかの裁判所でTeamsを利用したウェブ裁判が可能になってきました。

簡易裁判所は、地方裁判所や高等裁判所と異なり、交通の便が悪いところが多く、裁判所に行くことが大変でした。

今回、段階的ではありますが、ウェブ裁判で対応できることになり始めたことは、裁判を行う弁護士にとっては朗報です。

今まで地方裁判所で、ウェブ裁判を行ってきての感想ですが、当初は裁判所に行かなくて大丈夫なのかな?という不安な部分があったのですが、ウェブ裁判でも十分対応できると感じています。

特に、電話では相手の表情が分からないので、伝わりにくいこともあったのですが、ウェブ裁判の場合、意思疎通がしやすくなったという印象です。

また、書類なども画面共有やカメラ越しに映すなどして確認できることから、電話会議のころと比べると理解がしやすいです。

一方、私の良く扱う簡易裁判所での事件の内容は、物損事故の案件が多いのですが、この場合、過失割合が問題になることが多いです。

この場合に、ウェブ裁判でのやりやすさというものがどのように変わってくるのか、あるいは変わらないのか、気になるところです。

ウェブ裁判については、双方弁護士の場合に行われると思いますので、ウェブ裁判に関するお問い合わせは、弁護士にご相談ください。



過失割合

交通事故でよく問題になることとして、過失割合という言葉があります。

日常ではあまり使うことがないので、事故に遭われた方にとっては分かりにくい言葉ですが、交通事故が起こった際には避けて通れないことです。

過失割合とは、簡単に言うと、交通事故が起こった原因が一方の人間だけにあるわけでなく、双方に原因があるという考え方です。

車の真後ろから衝突される追突事故のような場合は、通常、一方にしか過失がないですが、車の横から衝突された場合には、双方に過失があると考えられています。

横から衝突された場合に、どちらの車がどれだけ悪かったのかを判断し、どれだけ損害賠償をしなければならないのかということを決めるために過失割合というものがあります。

そして、どちらの車が悪いのか?ということを判断するためには、道路交通法や一般的な考え方などを考慮して判断していきます。

例えば、優先道路を走行している際に、わき道から進入してきた車両に衝突された場合、一般的には、優先道路走行車A:非優先道路走行車B=10:90となります。

ここで、優先道路走行車両Aの修理代金が100万円であれば、相手Bから90万円が支払われます。

A車両の修理代金が100万円ですので、Aさんは残りの10万円は自腹となります。

一方、非優先道路走行車両Bの修理代金が50万円の場合、Aさんは、50万円の10%である5万円をBに支払わなければなりません。

したがって、Aさんの支出としては、10万円+5万円=15万円となります。

Aさんは、過失が小さく被害者側であるとはいえ、相手の修理代金の10%を負担しなければならない部分が気づかず、戸惑われる方がいらっしゃいます。

このように、交通事故の法律問題は、日常生活では経験しないことが突然出てくるため、戸惑うことは多いです。

交通事故の相談は、弁護士にご相談されることをお勧めします。



逮捕について

最近、ニュースやネットを見ていると、「この内容で逮捕されるのか?」という疑問が出されていることを見かけます。

警察が逮捕(通常逮捕)をするには、裁判官が出す逮捕状が必要があるため、警察が自由に逮捕しているわけではないですが、どのような場合に裁判官は逮捕状を出すのでしょうか。

法律の要件を検討してみます。

まず、通常逮捕について定められている条文は、刑事訴訟法199条です。

第2項で、裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認める場合には、逮捕状を発するとあります。

このことから、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があれば、逮捕状は出されそうです。

しかし、第2項但し書きには、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでないとあるので、この「明らかに逮捕の必要性がないと認めるとき」がどのような場合かが問題になりそうです。

これについては、刑事訴訟法規則143条の3で逮捕状の請求を却下しなければならない場合を決めています。

どのような場合かというと、被疑者が逃亡するおそれがなく、かつ罪証を隠滅するおそれがないなど明らかに逮捕の必要がないと考える場合です。

このような場合は、逮捕状の請求を却下しなければなりません。

しかし、「この内容で逮捕されるのか?」という疑問が出る事件のように、被疑者が逃亡するおそれや罪証隠滅するおそれがどの程度丁寧に審査されているのか疑問が生じる事例もあります。

警察などに逮捕された場合、その直後は身内の方・勤務先の人は面会することができず、弁護士しか面会することができません。

そのため、逮捕から最長72時間の間は、家族や勤務先と連絡を取ることができなくなってしまい、大変な混乱が生じることがあります。

このように逮捕というものは、重大な身体の制約につながる制度であるからこそ、逮捕状の審査は慎重に行ってほしいと思います。

なお、逮捕された後、勾留請求という手続きを捜査機関がとることがあります。

この勾留請求の段階で、ようやくその適否について法的に争う制度が設けられています。

また、逮捕段階で弁護士がつくことができた場合、そもそも、勾留請求を行わないように検察官と交渉したり、仮に検察官が勾留請求を行ったとしても、勾留請求を却下するように裁判官に申し入れをしたりすることが可能です。

逮捕をされたら、早めに弁護士と相談をすることが重要だと思います。



ポケモンカード

今、ポケットモンスターのトレーディングカードが大人気となっており、入手することが困難になっています。

ニュースでも、ポケモンカードの転売の話題が取り上げられていますが、ポケモンカードの転売で詐欺事件まで発生しているようです。

ネットニュースの記事によると、様々な手口があるようですが、中身を入れ替えたカードを新品と偽ってフリマアプリに出品し、購入者から売買代金相当額をだまし取ったというような手口があるようです。

詐欺とは、刑法246条に規定されており、人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。とされています。

この条文を検討すると、①人を欺く(騙す)行為、②被害者の錯誤、③被害者の財物の交付、④財物が被害者から騙した人に移転することが必要なことが分かります。

そうすると、前記の事例に当てはめると、新品ではないのに、新品であると騙している点で、騙す行為が存在しています。

被害者の人は、中古ではなく新品であり、新品であるからこそ良いカードが入っているかもしれないと考えて購入するわけですから、この点に錯誤があると思います。

そして、被害者の人が代金を支払って、加害者がそのお金を受け取っているので、詐欺罪が成立するという風に考えられると思います。

ポケモンカードは、人気商品であるため、それをめぐって様々な事件が発生しているようですので、事件に巻き込まれないように、適切な場所から購入するなど、自身で犯罪に巻き込まれないように注意する必要があると思います。

ちなみに、過去には、ビックリマンチョコのシール集めが流行った時期があり、そのころ「ロッテ」ではなく「ロッチ」という発売元?が出したシールがガチャガチャで入手できた時期がありました。

弁護士になって、今考えてみると、ロッチのシールを正規品として正規のビックリマンチョコのシールと交換しようとする行為は、詐欺罪にあたるのではないか?と考えたりします。



対物超過特約

最近、交通事故事件において、車両損害に関する相談にのることがあります。

車両損害において、交通事故の被害者の方が驚かれる一つとして、車両の時価額と車両の修理代金の関係についてです。

車両の時価額とは、事故の際に乗っていた車両の、事故当時の車両の値段の相場をいいます。

車両の時価額の決め方は、レッドブックという中古車の時価額を掲載している書籍や、インターネットの中古車販売サイトの平均価格などをもとに決めていくことになります。

裁判所では、車両の時価額と車両の修理代金とを比較して、どちらか安いほうの金額しか賠償されないことになります。

(なお、買替諸費用を加算するなどの詳細な話は、ここではあえて省きます)

そのため、古い車で車両の時価額20万円程度だが、修理代金が50万円くらいする場合には、いくら被害者の方が全く悪くない100%被害者であったとしても、時価額である20万円しか賠償されないということになります。

このようなことになるため、被害者の方は、全く悪くないにもかかわらず、愛着のある車を修理するために30万円の手出しが発生することに納得できない!!と相談に来られることがありますが、法律的には時価額を支払えばよいので、20万円しかもらえませんと説明することになります。

上記のような弊害を防ぐため、車の保険の中には、対物賠償保険のほかに対物超過特約という特約が存在します。

この特約は、先ほどの修理代金と時価額を比較して、時価額が低い場合でも修理を選択するのであれば修理代金相当額を支払いますという特約です。

そのため、100%被害者の方でも自己負担なく自分の車を修理してもらえることができるので、メリットのある特約になります。

事故の被害に遭って、車の修理代金が高くなりそうな場合、加害者の保険に対物超過特約が付いていないかを確認することも忘れずに行いたいところです。

インターネットで調べると、代理店型の保険には、対物超過特約が自動付帯されているようですが、ネットから入るダイレクト型の保険会社の場合は、オプション加入になっていることが多いようです。

自動車保険に加入する際は、自分の損害を守るために加入すべき特約と、相手の損害を円満に賠償できるようにするために加入しておいた方が良い特約とがあると思います。

対物超過特約は、法律では賠償義務を負わない部分まで補償できる特約になっており、円満解決を目指すうえでは有益な特約になっていると思います。

交通事故の処理のためには、保険の知識も必要となってくるので、交通事故に遭われた際には弁護士にご相談されることをお勧めします。



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