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破産管財における財団債権の弁済

破産管財事件において、管財人が行う行為として財団債権の弁済があります。

財団債権の中では、税金の支払が多いですが、会社の破産の場合、従業員の方へ未払賃金の支払を行う必要がある場合があります。

管財人から、従業員の方に対して、「賃金の支払いをします。受け取りに来てください」と伝え、受取りに来てくれる場合には問題ないのですが、支払期日に受取に来てくれない場合はどうなるのでしょうか。

配当の場合には、破産法202条に基づく供託ができるとされているのですが、財団債権の弁済の場合にはそのような規定はありません。

この場合、支払期日に支払いを受領しない財団債権についても、供託をすることができますが、根拠条文が民法494条第1項第1号の受領拒絶として、供託をすることになります。

考えてみれば当然のことなので、あまり書籍には記載されていないのかもしれないのですが、不安だったので色々な書籍を調べて裏付けを取ろうとしましたが、明示的に記載されている書籍がほとんどなく、発見できたのは愛知県弁護士会が出している破産管財人のための破産法講義という書籍だけでした(見逃していたらすみません。)。

念のため、法務局の担当者の方に確認したら、民法494条第1項第1号を根拠条文として問題ないとのことでしたので、それで供託をすることができました。

なお、供託書の供託の原因たる事実の部分は、法務局のホームページに記載されている、破産法202条に基づく配当金の供託の文例を少し改変することで受け付けてもらえました。

私が普段やっている弁護士の業務上、供託手続きなどはほとんどすることが無いので、いざ供託するとなると、色々疑問が出てきて、大変勉強になりました。