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成年後見人

交通事故案件を扱っていると、交通事故被害者の方が重度の傷害を負い、そのために判断能力が欠けているのが通常の状態となっている方の案件を扱うことがあります。

このような場合、交通事故被害者の方は、弁護士との委任契約自体を締結できないことから、成年後見制度を利用する必要があります。

この成年後見制度とは、どのようなものでしょうか。

判断能力が欠けていることが通常である場合、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てて、裁判所によって成年後見人を選任してもらう制度になります。

この成年後見人には、法的な分類ではないですが、親族後見人と専門職後見人とに分けられると思います。

親族後見人は、判断能力が欠けている方の身内の方が、成年後見人になる場合をいいます。

専門職後見人は、弁護士や司法書士、その他の専門家などが、成年後見人になる場合をいいます。

どちらがふさわしいかは、事案によって変わってくるので、「こっちの方が正しい」とすぐに決めることは困難です。

そのため、事案ごとに、関係者と打ち合わせをして、どちらを選択するかについて決めていくことになります。

この点、最高裁判所の考え方は、平成31年3月に成年後見人の選任について基本的な考え方を発表しており、身近な親族などがいる場合には、本人の利益保護の観点から、身近な親族を後見人に選任することが望ましいとされています。

そのうえで、専門職後見人による専門職後見監督人などの支援を検討したり、状況に応じて、柔軟に後見人の交代・追加選任を行うとされています。

私が交通事故事案で成年後見人を必要とする場合、身近な親族がおられることが多いので、親族の方に成年後見人に就任していただくことが多いです。

そのうえで、多額の賠償金などが入ってくることが予想されるため、賠償金が入ってくる際には、成年後見支援信託制度を利用して、財産管理をしていただくことがほとんどです。

(成年後見支援信託制度利用時には、一時的に専門職後見人がつくことになります)

弁護士などの専門職後見人が財産管理をすることも適切な方法であると思うのですが、信託銀行などの破綻リスクが小さいと思われることから、信託銀行へ賠償金を預けておいて財産管理を行うほうが、より成年被後見人の方にとって安全ではないかと考えて、そのような手段をとっています。

成年後見制度を利用する際には、どのように制度を利用すべきかという点について、様々な視点から検討する必要があると思いますので、弁護士にご相談されることをお勧めします。