労災保険利用について2
先月に引き続き,労災保険について考えてみたいと思います。
先月にも記載したとおり,仕事中・通勤中に交通事故に遭ってしまったという事案において,弁護士が依頼者の方から相談を受けた際,労災保険を利用する場合もあります。
労災保険で支払われるお金として,療養(補償)給付や休業(補償)給付というものがあると記載しました。
休業補償給付について付け加える点は,休業(補償)給付は,休業初日から通算して3日間は支給されないとされています。
また,20%の休業特別支給金は,社会復帰促進等事業に基づく給付であるため,損益相殺や支給調整の対象にはなりません。
そのため,相手の保険会社が休業特別支給金で支給された部分も既払として控除して下さいと主張してきたときは,誤りだと反論する必要があります。
休業(補償)給付については,以上のとおりですが,その他にどのような金銭が支給されるのでしょうか。
まず,傷病(補償)給付というものがあります。
これは,療養開始後1年6か月を経過した重い傷病に対する給付で,一定の要件を満たしたときに支給される年金のことをいいます。
また,障害(補償)給付というものがあります。
これは,傷病についての治療を受け続けてきたが,症状固定の段階に至り,後遺障害が残存した場合に,その障害の程度に応じて,障害(補償)年金,障害(補償)一時金,障害特別年金,障害特別一時金,障害特別支給金が支給されることになります。
このように,労災保険は,被害を受けられた労働者の方に様々な補償を準備しています。
そのため,交通事故事案においては労災保険を利用することも念頭に置きながら対応していく必要があります。
ご不明な点等ございましたら,弁護士にお問い合わせいただければと思います。
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