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浪費について

破産手続の中で,弁護士が一番気にしていることは,依頼者の方が免責許可の決定をもらえるかどうかという点だと思います。

 

免責不許可事由として破産法252条1項は,複数の事由を定めていますが,「浪費」に該当するかどうかという点が問題になることが多いのではないでしょうか。

 

文献では,「浪費」かどうかは,本人の地位や財産や境遇など様々な事情を考慮して判断するとされており,破産者の金銭の支払いや財産の処分行為が使い道や金額などを総合的に判断して決まるとされていると記載されています。

 

分かりやすい事例を挙げると,宝石や高額の自動車を購入したとか,飲食店や風俗などで散財するような場合は「浪費」に該当すると判断されることがあります。

 

少し変わった場合として,知人への資金援助ということで「浪費」に当たるとされることもあります。

 

資金援助行為と浪費とは結び付きにくいとも思いますが,資金援助が程度を超えたものであれば,他の散財行為と同視できるため「浪費」とされているようです。

 

実際,過去に,知人への資金援助が「浪費」か否かを判断した事例において,東京高等裁判所平成16年2月9日決定(判タ1160号296頁)は,「・・・に対する資金援助という形で,その回収の見通しがほとんどなかったにもかかわらず,その地位,職業,収入および財産状態に比して通常の程度を超えた支出をしたものである。これは,前後の思慮なく財産を蕩尽したものであり,浪費に該当する。」と判断しています。

 

このように,どのような行為が免責不許可事由の「浪費」に当たるのかという点は,具体的事例に応じて個別に判断する必要があるため,弁護士にご相談されることをお勧めします。