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刑事手続きの流れ2

前回は,被疑者勾留の話までしましたので,被疑者勾留に関する争い方について記載したいと思います。

被疑者勾留が行われた場合には,弁護人としては,勾留に対する準抗告という手続きをとり,身柄の解放を求めることになります。

勾留に対する準抗告では,罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由や,逃亡すると疑うに足りる相当な理由がなく,勾留の必要性が無いことを主張していくこととなります。

また,勾留の取消請求という手続きをとることもあります。

勾留の取消請求は,刑訴法87条に規定されていますが,勾留の理由または勾留の必要性がなくなった場合に,勾留の取消請求が認められることとなります。

勾留に対する準抗告や勾留の取消請求以外にも,勾留理由開示という手続きがあります。

最近でも,某会社の元会長が,勾留理由開示を申し立ててマスコミで話題になりました。

この勾留理由開示とは,勾留されている被疑者・被告人や弁護人などから請求に基づき,公開法廷で裁判官が勾留した理由を明らかにする手続です。

憲法34条の規定に基づき,刑訴法82条以下で定められています。

もっとも,この勾留理由開示請求自体が,直接身柄解放に導くものではないので,勾留理由開示請求を行うことは少ないような気がします。

しかし,勾留理由開示請求を行うことで,事件に対する被疑者の言い分や,違法・不当な取調べ状況について証拠化できたり,接見禁止処分中の被疑者が,家族などの様子を法廷で見ることができたりするなどの効果があるとされているので,無意味な制度というわけではありません。

 

10日あるいは20日間の被疑者勾留が行われたあと,検察官によって起訴か不起訴かの判断がなされることとなります。

不起訴とされた場合には,身柄が解放されることとなります。

起訴された場合には,被告人に対する勾留という手続きがなされます。

被告人に対する勾留を起訴後勾留とも呼びますが,これの勾留期間は,刑訴法60条で,公訴の提起があった日から2か月とされています。

そして,特に継続の必要がある場合には,具体的にその理由を附した決定で,1か月毎に更新することができるとされています。

この起訴後勾留に対しても,勾留に対する抗告(準抗告),勾留取消請求などができますが,一般的には保釈の申請手続きをとります。

 

保釈については,昨年2月に本ブログでも記載したのですが,保証金の納付等を条件として,勾留の効力を残しながらその執行を停止し,被告人の身柄を解く制度となります。

保釈金の金額は,その人の立場などによって大きく変わってきますが,某会社の代表取締役の保釈保証金は7000万円と報道されていたことから,かなり高額な保釈保証金となっていることが分かります。

 

保釈が認められれば,身柄解放されて,刑事裁判のある時に裁判所に赴くということになりますが,保釈が認められなければ勾留が継続されることとなります。

勾留が継続するかしないかは,被告人の身体的負担や防御に,極めて大きな影響を与えます。

勾留が継続すると,肉体的・精神的負担が大きいので,弁護人は,被告人の身柄が解放されるよう働きかけをしていくよう努力することとなります。

 

弁護士として,民事事件のみならず,刑事弁護活動も極めて重要な業務になります。

特に,身体拘束を解くことができるかどうかは,その方の人生を左右する場合もあるため,より慎重な行動が求められると思います。