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無罪判決が出た場合2

次に,刑事訴訟法188条の2において費用補償を定めています。

これは,「無罪の判決が確定したときは,国は,当該事件の被告人であった者に対し,その裁判に要した費用の補償をする。」と規定しているように,刑事裁判でかかった費用を支払うよう請求することができます。

この費用補償請求については,請求できる期間が短く,無罪の判決が確定した後,6か月以内にしなければならないとされています。

先ほどの刑事補償請求とは異なり,請求期間が極めて短くなっているため,注意が必要です。

そして,この請求は,無罪の裁判をした裁判所に対して行うことになります。

この費用補償請求は,法律上特別の決まりはないため,書面でも口頭でも行うことができますが,通常,書面で行っていくこととなります。

また,費用補償請求を行う際の書面の内容はどのような事項を記載すればよいかが悩ましいところですが,裁判に要した費用の給付を求める給付訴訟と同視して,民事訴訟の訴状に倣い,請求の趣旨および原因を記載していくことが多いようです。

そして,請求の趣旨に,請求金額を明示することは必ずしも要求されていないようです。

請求金額の明示をしても良いでしょうが,費用の額の算出には複雑な調査や計算が必要となることから,明示までは求められておらず,「請求人に対し,無罪の裁判に要した費用の補償として相当額を交付するとの裁判を求める」という程度の記載でよいようです。

このように,無罪となった場合には,費用補償請求という制度もあるので,無罪判決を受けられた場合には,弁護士に相談されることをお勧めします。