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コロナウイルスと裁判手続きについて

 コロナウイルスの影響により,予定されていた裁判期日は取り消されていき,現状,全国的に,急を要する裁判手続き以外は止まっている状況のようです。

 東京や大阪などと異なり,名古屋では緊急事態宣言が出た時期が少し遅れたため,東京地裁などは止まっているが,名古屋地裁は裁判を続行しているという時期がありました。

 しかしながら,その時期でも,裁判所に出頭することは無く,電話会議システムを利用して期日を行っていました。

 法律的に説明すると,民事訴訟法175条に規定されている「書面による準備手続き」の制度を利用して,裁判所と双方代理人の3者による電話会議を行いました。

 書面による準備手続きというものを今まで経験したことが無かったのですが,コロナウイルスの感染防止という状況が,民訴法175条のその他相当と認める場合に当たるとされたのだと思います。

 和解手続きについても,様々な検討がなされているようです。

 例えば,調停に付して17条決定をしてもらう方法が検討されているようです。

 この場合だと,裁判所が判断を示すという手続きであるため,和解とは異なりますが,双方が合意している内容をもとに決定が出されるならば,和解と変わらないため,ほとんど問題は生じないと考えられます。

 細かくは,異議申し立てができる余地があるなどの点で異なりますが,異議が出そうならば,裁判所も決定を出さないので,大きな問題にはならないと思います。

 また,裁定和解という制度の利用も検討されているようです。

 裁定和解は,当事者双方から,裁判所の定める和解条項に服する旨の共同申立てがあるときに,適当な和解条項を定めてもらって告知を受ける(民訴法265条)という制度です。

 このように,現在,コロナウイルスの影響で,裁判所の手続きも通常とは異なっていますので,弁護士業務を行うにあたっては,各手続きについて注意して対応していかなければならないと思いました。