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逮捕について

最近、ニュースやネットを見ていると、「この内容で逮捕されるのか?」という疑問が出されていることを見かけます。

警察が逮捕(通常逮捕)をするには、裁判官が出す逮捕状が必要があるため、警察が自由に逮捕しているわけではないですが、どのような場合に裁判官は逮捕状を出すのでしょうか。

法律の要件を検討してみます。

まず、通常逮捕について定められている条文は、刑事訴訟法199条です。

第2項で、裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認める場合には、逮捕状を発するとあります。

このことから、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があれば、逮捕状は出されそうです。

しかし、第2項但し書きには、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでないとあるので、この「明らかに逮捕の必要性がないと認めるとき」がどのような場合かが問題になりそうです。

これについては、刑事訴訟法規則143条の3で逮捕状の請求を却下しなければならない場合を決めています。

どのような場合かというと、被疑者が逃亡するおそれがなく、かつ罪証を隠滅するおそれがないなど明らかに逮捕の必要がないと考える場合です。

このような場合は、逮捕状の請求を却下しなければなりません。

しかし、「この内容で逮捕されるのか?」という疑問が出る事件のように、被疑者が逃亡するおそれや罪証隠滅するおそれがどの程度丁寧に審査されているのか疑問が生じる事例もあります。

警察などに逮捕された場合、その直後は身内の方・勤務先の人は面会することができず、弁護士しか面会することができません。

そのため、逮捕から最長72時間の間は、家族や勤務先と連絡を取ることができなくなってしまい、大変な混乱が生じることがあります。

このように逮捕というものは、重大な身体の制約につながる制度であるからこそ、逮捕状の審査は慎重に行ってほしいと思います。

なお、逮捕された後、勾留請求という手続きを捜査機関がとることがあります。

この勾留請求の段階で、ようやくその適否について法的に争う制度が設けられています。

また、逮捕段階で弁護士がつくことができた場合、そもそも、勾留請求を行わないように検察官と交渉したり、仮に検察官が勾留請求を行ったとしても、勾留請求を却下するように裁判官に申し入れをしたりすることが可能です。

逮捕をされたら、早めに弁護士と相談をすることが重要だと思います。