弁護士 赤田光晴(愛知県弁護士会)トップ >> 交通事故 >> 飲酒運転について

飲酒運転について

年末になり、忘年会が行われることが多くなる時期になりました。

この時期になると、弁護士の業務においても、飲酒運転による事故のことを聞くことが出てきます。

飲酒運転は絶対に行ってはいけない行為ですが、その行為でどのようなことが生じるかについて解説してみたいと思います。

飲酒運転で他人を怪我させた場合でも、自動車の任意保険に加入していれば、怪我をさせた他人に対する治療費の支払いなどは行えます。

では、飲酒運転をして自損事故を起こし、自分自身が怪我をした場合にはどうでしょうか。

自損事故を起こした場合に利用を考える保険としては、自分が加入している自動車任意保険の人身傷害保険ですが、人身傷害保険の利用条件として、「酒酔い、酒気帯び運転をしていないこと」とされています。

(正確には、酒酔い・酒気帯び運転の際は、免責されると記載されています。)

そのため、飲酒運転をした場合には、人身傷害保険の利用はできないとされています。

人身傷害保険の利用が不可として、自分の怪我の治療費を支払うために健康保険の利用はできないでしょうか?

健康保険法116条には、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は行わない。と規定されます。

健康保険法117条には、泥酔・・・によって給付事由を生じさせたときは、・・・保険給付は、その全部又は一部を行わないことができる。と規定されます。

健康保険法を解説した書籍には、116条の故意の犯罪行為についての解説として、飲酒運転による無謀運転で事故を起こし、負傷した場合などは、故意の犯罪行為によるものと言えるであろうとの記述もあります。

さらに、通達では、「故意の犯罪行為により生じた事故について給付制限を行うためには、その行為の遂行中に事故が発生したという関係があるのみでは不十分であって、その行為が保険事故発生の主たる原因であると考えるべきであるという、いわゆる相当な因果関係が両者の間にあることが必要である。」とされています。

このように、飲酒運転を行った場合には、通常は、健康保険の利用も拒否されることになります。

(例外的に、飲酒運転が事故発生の主たる原因ではなく、怪我と犯罪行為との間の相当因果関係が切れれば、健康保険利用の可能性があるかもしれません。)

このように、飲酒運転のよる事故は、他人を傷つけるだけではなく、自分も傷つけてしまうばかりでなく、財産的損害も極めて大きくなる可能性があるので、絶対にしてはいけません。