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台風

今年のお盆は、東海・近畿地方は台風が直撃しました。

そのため、公共交通機関は運休し、帰省客などの移動に大きな支障が生じたようです。

また、台風の被害も徐々に明らかになってきていますが、台風で被害を受けたときには、どのように対応していけばよいのでしょうか。

例えば、台風で飛んできた屋根瓦に当たって車に傷がついたという場合が考えられます。

このような場合、ご自身の車に車両保険がついていれば、車両保険を利用して修理を行うことが考えられます。

もっとも車両保険を利用すると保険の等級が下がるため、修理代金と保険料の値上がり分を比較して利用の有無を考えることになると思いますが、車両保険が利用できるということは、修理費が高額になるなどの万が一の場合、心強いといえます。

また、屋根瓦が飛んで行って家を修理しなければならない場合が考えられます。

この場合は、火災保険が利用できる可能性があります。

火災保険に風災が補償対象になっている場合、台風による災害にあい、屋根が損傷したとして修理代金を保険で支払ってもらえる可能性があります。

では、屋根瓦が飛んで行った家の持ち主が、屋根瓦が当たった車の修理代金を賠償する必要はあるのでしょうか。

この点については、屋根瓦が飛んで行った家の持ち主が、工作物責任を負うかどうかという点が問題となります。

民法717条では、工作物責任が定められており、設置保存の瑕疵の有無が問題となってきます。

そして、屋根瓦に設置保存の瑕疵があると判断された場合には、賠償責任を負うことになります。

過去の裁判例でも、工作物責任を認めている裁判例や否定している裁判例など様々であり、設置保存の瑕疵の有無の判断は難しい判断になると思いますので、ご不明な点がある場合は、お近くの弁護士に相談されることをお勧めします。



サッカー競技中の事故について

サッカーやフットサルを行っている中で、プレイヤー同士が接触して怪我をするということは、スポーツをされている方の中では経験することだと思います。

このような場合、怪我をさせたプレイヤーは、賠償義務を負うのでしょうか。

この点について、事故が発生したからといって直ちに違法性があるといえないが、ルールに違反したプレーによって事故が生じた場合には違法性があるという見解が一般的なのかなと考えていたのですが、現在の実務では、単純にそのように考えられて良い状況でもないようです。

東京地裁平成28年12月26日の裁判例は、サッカーのプレイヤー同士の事故で、怪我をさせたプレイヤーに責任が認められた事例です。

試合中、蹴りだされたボールを右の太ももでトラップして手前に落とし、その後、ボールを左足で蹴り出そうとしたところに、相手が走りこんできて、相手がのばした左足の裏側と怪我した人の左のすねが接触して、骨折をしたという事案です。

この中で、加害者の過失を認めたうえで、違法性が否定されるかという議論を行い、競技規則12条に規定された反則行為とも考えられる行為であると評価できるとして、違法性は阻却されないと判断しました。

なお、試合時の審判は、加害者の行為にファールを取っていなかったのですが、裁判では、審判の判断とは異なり、反則行為とも考えられる行為であるとして違法性を認めました。

この裁判例は、競技規則を詳細に検討したうえで判断されており、一定の評価が与えられているようです。

次に、東京地裁平成30年2月28日の裁判例があります。

この事案では、加害者の足が、被害者の足に直接衝突するような形でスライディングを行ったものと認められないとして、直接足に当たったという事実を前提とはできないが、スライディングを契機として負傷した事故であるとして、加害者に過失があるかどうかを検討しました。

そのうえで、スライディングを行ってはならないという結果回避義務を課すべき状況にあったとは認められないとして、加害者の過失を否定しました。

このように、同じサッカーの試合中の事故であったとしても、事故の状況などによって判断が分かれることになるため、単純に「試合中の事故なので責任はない」と言い切れるわけではないと思います。

このような事故による補償のために、スポーツ安全保険などの保険の加入や、個人賠償責任保険の加入なども検討しておく必要があると思います。

(但し、個人賠償責任保険のほうは、加害者に賠償義務があると判明した場合の保険であるため、保険会社がどこまで対応してくれるかは、保険会社ごとに変わってくるような気がします。)

弁護士として相談されたときには、上記のような裁判例にも留意して相談にのる必要があると思いました。

 



倒産事件

コロナ禍が終息に向かい、株価も上昇しつつありますが、最近、破産について耳にすることが増えてきているような気がします。

先日も、管財事件で引き上げ業者さんに物件を引き上げてもらうために立ち合いをした際にも、業者さんが、引き上げの依頼が増えているような気がするとおっしゃっていました。

統計で見てみないことにはわからないので、いい加減なことは言えないと思いますが、先日見たヤフーニュースでも1月から5月の倒産件数が前年比で増えていると書いていたので、あっているのかもしれません。

倒産事件を扱う中で、会社に資産が全くない状態であれば、何もやることがないという状況もあるのですが、会社に資産が残っていると、その資産を売却するなどして、債権者の方々に分配するという作業が必要になってきます。

この作業を換価というのですが、この換価作業は、面白い部分があります。

こちらは、「こんなのは売れないのではないか。廃棄しかないかな。。。。」と考えていても、思いがけず、引き取り手が現れたりすることもあり、色々なビジネスの考え方があるのだなと、感心することがあります。

弁護士業を行っているだけでは思いもよらない、会社のビジネスの現場の知恵というものが勉強になります。

また、換価した後、配当という手続きもとることになるのですが、この手続きは財産がたくさんあれば一般の債権者の方にも配当することができるのですが、そこまで財産がないことが多く、税金などの支払いだけで終了してしまうことも多いです。

法律上、税金や社会保険などが優先されるのでやむを得ないのですが、一般の債権者の方(特に個人の方)からすると、なぜ税金などが優先されて、自分の方には全く払ってくれないのだ!と聞かれると、「法律がそうなってるから」としか答えようがないのですが、言いたくなる気持ちが分かるので、気の毒に感じてしまいます。

破産手続きの管財人としての仕事は、色々な利害関係人が絡むので、頭を悩ませるのですが、やりがいがある部分もあり、今後も続けていきたい分野であると考えています。

破産事件の管財人の仕事について記載しましたが、弁護士法人心では、破産事件の申し立ても重点分野として取り扱っています。

破産を検討せざるを得ないとお考えの方は、弁護士法人心にご相談ください。



成年後見人

交通事故案件を扱っていると、交通事故被害者の方が重度の傷害を負い、そのために判断能力が欠けているのが通常の状態となっている方の案件を扱うことがあります。

このような場合、交通事故被害者の方は、弁護士との委任契約自体を締結できないことから、成年後見制度を利用する必要があります。

この成年後見制度とは、どのようなものでしょうか。

判断能力が欠けていることが通常である場合、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てて、裁判所によって成年後見人を選任してもらう制度になります。

この成年後見人には、法的な分類ではないですが、親族後見人と専門職後見人とに分けられると思います。

親族後見人は、判断能力が欠けている方の身内の方が、成年後見人になる場合をいいます。

専門職後見人は、弁護士や司法書士、その他の専門家などが、成年後見人になる場合をいいます。

どちらがふさわしいかは、事案によって変わってくるので、「こっちの方が正しい」とすぐに決めることは困難です。

そのため、事案ごとに、関係者と打ち合わせをして、どちらを選択するかについて決めていくことになります。

この点、最高裁判所の考え方は、平成31年3月に成年後見人の選任について基本的な考え方を発表しており、身近な親族などがいる場合には、本人の利益保護の観点から、身近な親族を後見人に選任することが望ましいとされています。

そのうえで、専門職後見人による専門職後見監督人などの支援を検討したり、状況に応じて、柔軟に後見人の交代・追加選任を行うとされています。

私が交通事故事案で成年後見人を必要とする場合、身近な親族がおられることが多いので、親族の方に成年後見人に就任していただくことが多いです。

そのうえで、多額の賠償金などが入ってくることが予想されるため、賠償金が入ってくる際には、成年後見支援信託制度を利用して、財産管理をしていただくことがほとんどです。

(成年後見支援信託制度利用時には、一時的に専門職後見人がつくことになります)

弁護士などの専門職後見人が財産管理をすることも適切な方法であると思うのですが、信託銀行などの破綻リスクが小さいと思われることから、信託銀行へ賠償金を預けておいて財産管理を行うほうが、より成年被後見人の方にとって安全ではないかと考えて、そのような手段をとっています。

成年後見制度を利用する際には、どのように制度を利用すべきかという点について、様々な視点から検討する必要があると思いますので、弁護士にご相談されることをお勧めします。



ヘルメットについて

令和5年4月1日から、道路交通法が改正され、自転車を乗る人がヘルメットをかぶるように努めなければならないとなりました。

道路交通法第63条の11によると、第1項で自転車の運転者に乗車用ヘルメットの装着の努力義務が課せられています。

第2項では、自転車の運転者は、他人を当該自転車に嬢やさせるときな、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるようにする努力義務が課せられています。

第3項では児童・幼児の保護する責任のある者は、児童・幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるようにする努力義務が課せられています。

このように、法律で、自転車乗車に際してのヘルメット装着の努力義務が定められました。

今まで、愛知県では、条例で自転車利用者に対して、ヘルメットの装着を努力義務を課していましたが、これが道路交通法でも課せられるようになったということです。

愛知県の条例と改正道路交通法は、重なる部分もあるのですが、愛知県の条例では、自転車をその事業の用に供する事業者は、従業員が仕事で自転車を使う場合は、ヘルメットを装着させる努力義務が課せられています。

この事業者に努力義務が課せられている点が、法律と異なる部分であると思います。

条例や法律で、自転車を乗車する者に、ヘルメット装着義務を課し始めていることからすると、今後、交通事故の過失割合においてもヘルメットの装着の有無が過失割合に影響を与えてくる可能性はあります。

もっとも、私が、弁護士として交通事故事案を扱ってきた中で、自転車運転者の方がヘルメットをかぶっていたために死亡せずに済んだ、あるいは大けがを負わなくて済んだという事例は、過去に取り扱った事例でもたくさんあります。

そのため、自分の生命・身体を守るためにも、自転車に乗る際のヘルメットの装着をお勧めします。



民事訴訟法改正

令和4年5月18日に民事訴訟法の一部が改正され、5月25日に公布されていた改正法について、今年の2月以降、施行されています。

令和5年2月に施行された住所・氏名等の秘匿制度については、私自身の扱っている分野と現時点ではあまり関連性がなかったので、そこまで気にしていなかったのですが、3月1日に施行された、当事者双方がウェブ会議・電話会議を利用して弁論準備手続きの期日や和解の期日に参加することが可能となったことについては、大きな影響を感じました。

今までは、ウェブ会議等を利用した弁論準備手続きを行う場合には、当事者の一方が裁判所に出廷することが要件とされていたので、双方ウェブ会議の場合は、事実上の手続きという扱いでした。

これが、今年の3月からは、双方ウェブ会議で参加する場合でも、弁論準備手続きとして取り扱われることとなりました。

さらに、双方ウェブ会議で参加するときに、和解を行うことができる点は、大きな違いだと思います。

これまでの場合、裁定和解などの制度を用いて和解を成立させていたのですが、これからは通常通り和解が成立するので、イレギュラーな対応をしなくてもよいという利点があります。

民事訴訟法の改正により、ますます裁判所に行かずに、訴訟を行うことができる点で便利になってきています。

一方で、裁判所に行くことが無くなり、画面越しで話すので、「こちらの言いたいことは伝わるのかな?」と心配になることもあります。

ウェブ会議での裁判と言っても、尋問などは直接裁判所で行う必要があるので、今後、裁判所に行かなくなるということは無いと思いますが、時代とともに、裁判のやり方も変わっていくなという感じを受けました。

ちなみに、名古屋地方裁判所は、以前はタクシー乗り場にタクシーがいつでも止まっていたのですが、最近は、タクシーがほとんどおらず、たまに裁判所に行った際に、タクシーに乗ることができないこともあります。

タクシーの運転手の方も、裁判所に弁護士が行かなくなっていることを感じているのかもしれません。



道路標示について

交通事故事件を扱っていると、道路標示について検討する場合があります。

道路標示とは、道路に白色で記載されている速度の標示などがあります。

(例えば、30と道路に記載されていれば、その道路は最高速度が時速30kmの道路であり、それ以上の速度で走行してはいけないというような標示です。)

それでは、この道路標示は、長さなど自由に書くことができるのでしょうか。

道路標示については、道路法45条が委ねている、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令において、詳しく決められているので好き勝手に記載できるわけではありません。

街中で道路標示を作成している工事の方も、上記命令に定められている基準に従って、作成していることになります。

道路標示の一般的な内容については、以上のとおりです。

ここからが本題となりますが、交通事故事件を扱っていて、相談者の方から言われることとして、「相手側の道路に停止線があったので、相手の方が悪いはずだ」ということがあります。

この「停止線」というものが、曲者であり、弁護士がアドバイスをするときに注意して確認する必要があります。

何が曲者かというと、停止線と見える白線の中にも、規制を伴っている停止線と規制を伴っていない停止線があります。

規制を伴っている停止線とは、停止線のそばに「止まれ」の赤色の道路標識が立っている場合です。

このケースでは、一時停止無視をすることは道路交通法違反にも該当することとなり、一時停止規制のある側の方が劣後する関係にあります。

そのため、停止線のある側の相手方と停止線の無いほうの相談者の方では、相談者の方が言う「相手の方が悪いはずだ」という発言は正しくなります。

一方、「止まれ」看板がない場合には、「ここで止まったほうが安全ですよ」というくらいの意味合いで白線が引かれているので、停止線のある相手の方に法律上の義務が無い以上、交差点通過時の注意義務を負う点では、相談者の方と同様の立場になることになります。

そのため、単純に、「相手方の方が悪い」とは言い切れなくなってきます。

この場合には、どちらが左方であったのかとか、道路の幅が広いのはどちらの方であるのかなどといったほかの要素を確認していく必要が出てきます。

近時の裁判例の中には、「交差点入口に設置された停止線のみでは道路交通法上の一時停止規制の効果は生じないものの、本件交差点における上記道路の幅員の差異や道路工事の状況、本件交差点の見通しの悪さを踏まえれば、・・・・相応の注意を促すものであったと評価すべきである」(名古屋地裁令和3年9月29日裁判例)と判断したものもあり、他の要素の考慮を行って過失割合を判断しているものもあります。

このように、停止線の問題については、複雑な判断を求められることもあることから、このような事案にあたった場合には弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 

 

 

 

 



無保険車特約の利用

交通事故に遭われた被害者の方が、困られるケースとして、加害者側が任意保険に加入していないというケースが挙げられます。

加害者側が任意保険に加入していない場合でも、被害者の方自身が自分の自動車保険に人身傷害保険を付けられていれば、自分の保険会社が治療費の支払いをしてくれて、慰謝料なども支払ってくれるので、そこまで困ることはありません。

もっとも、困るケースは、被害者が原付バイクなどに乗っており、バイクの保険には人身傷害保険が付いておらず、任意保険に加入していない加害者から衝突されたケースです。

この場合、人身傷害保険も利用できず、加害者側の任意保険も存在しないため、治療費の支払などで困ることになります。

このようなケースでは、治療費などは、一旦、被害者の方で立替払いをして、加害者の自賠責保険に請求をしていくことが考えられます。

一定の治療期間が経過した段階で、不幸にも後遺障害が残存した場合、無保険車傷害特約という特約の出番が考えられます。

無保険車傷害特約とは、被害者の方に後遺障害が残存した場合、さかのぼって無保険車傷害特約が利用できるようになります。

この場合、入通院期間中の慰謝料や休業損害、後遺障害の慰謝料や逸失利益を支払ってもらえることとなります。

無保険車傷害特約という特約は、大体の自動車保険に自動付帯されていると思います。

そのため、無保険の加害者による事故によって怪我をした場合、後遺障害が残ってしまった場合には、無保険車特約の利用を忘れずに検討する必要があると思います。

では、無保険車傷害特約で支払われる項目は限定があるのでしょうか。

この点、無保険車傷害特約が利用できる場合には(後遺障害が認定された場合には)さかのぼって、治療費や入通院慰謝料などが支払われることになります。

また、後遺障害の慰謝料や逸失利益も支払われます。

このように、支払い項目は通常の人身傷害保険などと同様であり、極めて利用価値の高い特約となっています。

このような利用価値が高い無保険車傷害特約ですが、前述のとおり、事故直後から利用できないため、使い勝手の悪い特約となっています。

そのため、事故直後から利用できる人身傷害保険の利用が主流となっており、無保険車特約の存在は忘れられがちです。

被害者の方が加入している任意保険の担当者の方も、無保険車特約の指摘をしない限り気付かないケースも存在していると思いますので、無保険の加害者による事故に遭われ、後遺障害が残存した被害者の方は、弁護士に相談して無保険車特約の利用の可否について検討することも必要であると思います。



年末ジャンボ宝くじ

今年も、年末ジャンボ宝くじの時期になりました。

今年の年末ジャンボ宝くじも10億円が当たるチャンスということで、夢がある金額となっています。

高額当選者が続出しているという名駅のチャンスセンターでは、毎日、宝くじ売り場で係の人が、呼び込みをしています。

特に、大安の日などは、購入者が増えるためか、大安であることを強調して、年末ジャンボ宝くじを売っています。

では、宝くじは、誰でも自由に行うことができるのでしょうか。

宝くじは、富くじと考えても良いと思いますが、この冨くじというものは、刑法187条で発売を禁止されています。

刑法187条では、富くじを発売したものは、2年以下の懲役又は150万円以下の罰金とされています。

暴行罪が2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料とされているので、富くじ発売の刑罰は、まあまあ重いと思います。

このように、宝くじは刑法により禁止されているのに、宝くじが売られているのは何故でしょうか。

これは、当せん金付証票法という法律によって、特別に宝くじの発売が許されているからです。

当せん金付証票法の4条では、都道府県並びに地方自治法上の指定都市(中略)は、総務大臣の許可を受けて、当せん金付証票を発売することができるとされています。

このように、法律で特別に認められているため、宝くじを発売することができるのです。

なお、宝くじのホームページをみると、発売元は全国都道府県及び20指定都市とされており、法律の規定に従って発売されていることが分かります。

弁護士目線で宝くじ発売というものを考えた場合、どのような法律に基づいて発売されているのかということが気になりますが、法律云々よりも、当せん金額の方がより気になるというのが本音です!!



破産管財における財団債権の弁済

破産管財事件において、管財人が行う行為として財団債権の弁済があります。

財団債権の中では、税金の支払が多いですが、会社の破産の場合、従業員の方へ未払賃金の支払を行う必要がある場合があります。

管財人から、従業員の方に対して、「賃金の支払いをします。受け取りに来てください」と伝え、受取りに来てくれる場合には問題ないのですが、支払期日に受取に来てくれない場合はどうなるのでしょうか。

配当の場合には、破産法202条に基づく供託ができるとされているのですが、財団債権の弁済の場合にはそのような規定はありません。

この場合、支払期日に支払いを受領しない財団債権についても、供託をすることができますが、根拠条文が民法494条第1項第1号の受領拒絶として、供託をすることになります。

考えてみれば当然のことなので、あまり書籍には記載されていないのかもしれないのですが、不安だったので色々な書籍を調べて裏付けを取ろうとしましたが、明示的に記載されている書籍がほとんどなく、発見できたのは愛知県弁護士会が出している破産管財人のための破産法講義という書籍だけでした(見逃していたらすみません。)。

念のため、法務局の担当者の方に確認したら、民法494条第1項第1号を根拠条文として問題ないとのことでしたので、それで供託をすることができました。

なお、供託書の供託の原因たる事実の部分は、法務局のホームページに記載されている、破産法202条に基づく配当金の供託の文例を少し改変することで受け付けてもらえました。

私が普段やっている弁護士の業務上、供託手続きなどはほとんどすることが無いので、いざ供託するとなると、色々疑問が出てきて、大変勉強になりました。



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