ようこそ,弁護士 赤田光晴のブログへ
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令和4年5月18日に民事訴訟法の一部が改正され、5月25日に公布されていた改正法について、今年の2月以降、施行されています。
令和5年2月に施行された住所・氏名等の秘匿制度については、私自身の扱っている分野と現時点ではあまり関連性がなかったので、そこまで気にしていなかったのですが、3月1日に施行された、当事者双方がウェブ会議・電話会議を利用して弁論準備手続きの期日や和解の期日に参加することが可能となったことについては、大きな影響を感じました。
今までは、ウェブ会議等を利用した弁論準備手続きを行う場合には、当事者の一方が裁判所に出廷することが要件とされていたので、双方ウェブ会議の場合は、事実上の手続きという扱いでした。
これが、今年の3月からは、双方ウェブ会議で参加する場合でも、弁論準備手続きとして取り扱われることとなりました。
さらに、双方ウェブ会議で参加するときに、和解を行うことができる点は、大きな違いだと思います。
これまでの場合、裁定和解などの制度を用いて和解を成立させていたのですが、これからは通常通り和解が成立するので、イレギュラーな対応をしなくてもよいという利点があります。
民事訴訟法の改正により、ますます裁判所に行かずに、訴訟を行うことができる点で便利になってきています。
一方で、裁判所に行くことが無くなり、画面越しで話すので、「こちらの言いたいことは伝わるのかな?」と心配になることもあります。
ウェブ会議での裁判と言っても、尋問などは直接裁判所で行う必要があるので、今後、裁判所に行かなくなるということは無いと思いますが、時代とともに、裁判のやり方も変わっていくなという感じを受けました。
ちなみに、名古屋地方裁判所は、以前はタクシー乗り場にタクシーがいつでも止まっていたのですが、最近は、タクシーがほとんどおらず、たまに裁判所に行った際に、タクシーに乗ることができないこともあります。
タクシーの運転手の方も、裁判所に弁護士が行かなくなっていることを感じているのかもしれません。
交通事故事件を扱っていると、道路標示について検討する場合があります。
道路標示とは、道路に白色で記載されている速度の標示などがあります。
(例えば、30と道路に記載されていれば、その道路は最高速度が時速30kmの道路であり、それ以上の速度で走行してはいけないというような標示です。)
それでは、この道路標示は、長さなど自由に書くことができるのでしょうか。
道路標示については、道路法45条が委ねている、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令において、詳しく決められているので好き勝手に記載できるわけではありません。
街中で道路標示を作成している工事の方も、上記命令に定められている基準に従って、作成していることになります。
道路標示の一般的な内容については、以上のとおりです。
ここからが本題となりますが、交通事故事件を扱っていて、相談者の方から言われることとして、「相手側の道路に停止線があったので、相手の方が悪いはずだ」ということがあります。
この「停止線」というものが、曲者であり、弁護士がアドバイスをするときに注意して確認する必要があります。
何が曲者かというと、停止線と見える白線の中にも、規制を伴っている停止線と規制を伴っていない停止線があります。
規制を伴っている停止線とは、停止線のそばに「止まれ」の赤色の道路標識が立っている場合です。
このケースでは、一時停止無視をすることは道路交通法違反にも該当することとなり、一時停止規制のある側の方が劣後する関係にあります。
そのため、停止線のある側の相手方と停止線の無いほうの相談者の方では、相談者の方が言う「相手の方が悪いはずだ」という発言は正しくなります。
一方、「止まれ」看板がない場合には、「ここで止まったほうが安全ですよ」というくらいの意味合いで白線が引かれているので、停止線のある相手の方に法律上の義務が無い以上、交差点通過時の注意義務を負う点では、相談者の方と同様の立場になることになります。
そのため、単純に、「相手方の方が悪い」とは言い切れなくなってきます。
この場合には、どちらが左方であったのかとか、道路の幅が広いのはどちらの方であるのかなどといったほかの要素を確認していく必要が出てきます。
近時の裁判例の中には、「交差点入口に設置された停止線のみでは道路交通法上の一時停止規制の効果は生じないものの、本件交差点における上記道路の幅員の差異や道路工事の状況、本件交差点の見通しの悪さを踏まえれば、・・・・相応の注意を促すものであったと評価すべきである」(名古屋地裁令和3年9月29日裁判例)と判断したものもあり、他の要素の考慮を行って過失割合を判断しているものもあります。
このように、停止線の問題については、複雑な判断を求められることもあることから、このような事案にあたった場合には弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
交通事故に遭われた被害者の方が、困られるケースとして、加害者側が任意保険に加入していないというケースが挙げられます。
加害者側が任意保険に加入していない場合でも、被害者の方自身が自分の自動車保険に人身傷害保険を付けられていれば、自分の保険会社が治療費の支払いをしてくれて、慰謝料なども支払ってくれるので、そこまで困ることはありません。
もっとも、困るケースは、被害者が原付バイクなどに乗っており、バイクの保険には人身傷害保険が付いておらず、任意保険に加入していない加害者から衝突されたケースです。
この場合、人身傷害保険も利用できず、加害者側の任意保険も存在しないため、治療費の支払などで困ることになります。
このようなケースでは、治療費などは、一旦、被害者の方で立替払いをして、加害者の自賠責保険に請求をしていくことが考えられます。
一定の治療期間が経過した段階で、不幸にも後遺障害が残存した場合、無保険車傷害特約という特約の出番が考えられます。
無保険車傷害特約とは、被害者の方に後遺障害が残存した場合、さかのぼって無保険車傷害特約が利用できるようになります。
この場合、入通院期間中の慰謝料や休業損害、後遺障害の慰謝料や逸失利益を支払ってもらえることとなります。
無保険車傷害特約という特約は、大体の自動車保険に自動付帯されていると思います。
そのため、無保険の加害者による事故によって怪我をした場合、後遺障害が残ってしまった場合には、無保険車特約の利用を忘れずに検討する必要があると思います。
では、無保険車傷害特約で支払われる項目は限定があるのでしょうか。
この点、無保険車傷害特約が利用できる場合には(後遺障害が認定された場合には)さかのぼって、治療費や入通院慰謝料などが支払われることになります。
また、後遺障害の慰謝料や逸失利益も支払われます。
このように、支払い項目は通常の人身傷害保険などと同様であり、極めて利用価値の高い特約となっています。
このような利用価値が高い無保険車傷害特約ですが、前述のとおり、事故直後から利用できないため、使い勝手の悪い特約となっています。
そのため、事故直後から利用できる人身傷害保険の利用が主流となっており、無保険車特約の存在は忘れられがちです。
被害者の方が加入している任意保険の担当者の方も、無保険車特約の指摘をしない限り気付かないケースも存在していると思いますので、無保険の加害者による事故に遭われ、後遺障害が残存した被害者の方は、弁護士に相談して無保険車特約の利用の可否について検討することも必要であると思います。
今年も、年末ジャンボ宝くじの時期になりました。
今年の年末ジャンボ宝くじも10億円が当たるチャンスということで、夢がある金額となっています。
高額当選者が続出しているという名駅のチャンスセンターでは、毎日、宝くじ売り場で係の人が、呼び込みをしています。
特に、大安の日などは、購入者が増えるためか、大安であることを強調して、年末ジャンボ宝くじを売っています。
では、宝くじは、誰でも自由に行うことができるのでしょうか。
宝くじは、富くじと考えても良いと思いますが、この冨くじというものは、刑法187条で発売を禁止されています。
刑法187条では、富くじを発売したものは、2年以下の懲役又は150万円以下の罰金とされています。
暴行罪が2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料とされているので、富くじ発売の刑罰は、まあまあ重いと思います。
このように、宝くじは刑法により禁止されているのに、宝くじが売られているのは何故でしょうか。
これは、当せん金付証票法という法律によって、特別に宝くじの発売が許されているからです。
当せん金付証票法の4条では、都道府県並びに地方自治法上の指定都市(中略)は、総務大臣の許可を受けて、当せん金付証票を発売することができるとされています。
このように、法律で特別に認められているため、宝くじを発売することができるのです。
なお、宝くじのホームページをみると、発売元は全国都道府県及び20指定都市とされており、法律の規定に従って発売されていることが分かります。
弁護士目線で宝くじ発売というものを考えた場合、どのような法律に基づいて発売されているのかということが気になりますが、法律云々よりも、当せん金額の方がより気になるというのが本音です!!
破産管財事件において、管財人が行う行為として財団債権の弁済があります。
財団債権の中では、税金の支払が多いですが、会社の破産の場合、従業員の方へ未払賃金の支払を行う必要がある場合があります。
管財人から、従業員の方に対して、「賃金の支払いをします。受け取りに来てください」と伝え、受取りに来てくれる場合には問題ないのですが、支払期日に受取に来てくれない場合はどうなるのでしょうか。
配当の場合には、破産法202条に基づく供託ができるとされているのですが、財団債権の弁済の場合にはそのような規定はありません。
この場合、支払期日に支払いを受領しない財団債権についても、供託をすることができますが、根拠条文が民法494条第1項第1号の受領拒絶として、供託をすることになります。
考えてみれば当然のことなので、あまり書籍には記載されていないのかもしれないのですが、不安だったので色々な書籍を調べて裏付けを取ろうとしましたが、明示的に記載されている書籍がほとんどなく、発見できたのは愛知県弁護士会が出している破産管財人のための破産法講義という書籍だけでした(見逃していたらすみません。)。
念のため、法務局の担当者の方に確認したら、民法494条第1項第1号を根拠条文として問題ないとのことでしたので、それで供託をすることができました。
なお、供託書の供託の原因たる事実の部分は、法務局のホームページに記載されている、破産法202条に基づく配当金の供託の文例を少し改変することで受け付けてもらえました。
私が普段やっている弁護士の業務上、供託手続きなどはほとんどすることが無いので、いざ供託するとなると、色々疑問が出てきて、大変勉強になりました。
交通事故事件を扱っていて、シートベルトの着用をしていなかったり、チャイルドシートの設置がなされていなかったりするケースが時々あります。
2008年に、後部座席のシートベルト着用を義務付けられてから10年以上経過しますが、後部座席でのシートベルトの未着用というケースはあるようです。
シートベルトをしていない場合、後部座席に乗車中の人の怪我を防ぐことが困難になるという点で、シートベルトの着用は必ず行うべきであると思います。
では、交通事故の賠償問題において、シートベルトの未着用はどのように扱われるのでしょうか。
様々な事故の類型があり、単純に回答することはできないのですが、シートベルトを着けていなかったことが原因で損害が大きくなっているケースなどでは、10%ほどの過失相殺がなされていることがあります。
通常は、後部座席に乗っているだけであれば、過失割合の問題にはなりにくいのですが、シートベルト未着用という点は、後部座席に乗車している人にも責任があると考えられるため、10%ほどの過失がとられることがあるようです。
もっとも、健康上の理由などで、法律上、シートベルトを着用することが免除されているケースにおいては、過失割合については、別途検討する必要が出てくると思います。
では、免許の点数についてはどのような扱いになるのでしょうか。
一般道路において、後部座席に乗車中の人がシートベルトの着用をしていなかった場合、運転者の免許の点数は引かれません。
高速道路の場合は、後部座席に乗車中の人がシートベルトを着けていなかった場合には、1点減点されます。
このように、免許の点数の減点の有無だけで考えると、一般道路におけるシートベルト着用義務はないのではないかとの誤解が発生しそうです。
しかし、法律では着用が義務付けられていますし、賠償においても過失相殺される可能性もあるので、シートベルトの着用は必須であると思います。
交通事故被害に遭い、賠償問題において、シートベルト着用の点で問題になっている方は、弁護士に一度ご相談ください。
あまり気にかけていなかったことですが、病院を閉院する場合には、様々な手続きをとる必要があるということについて学ぶ機会がありました。
病院を廃止する場合、診療所廃止届というものを病院を管轄している保健所に提出する必要があります。
X線装置を持っている場合は、エックス線装置廃止届も保健所に提出する必要があります。
これらの届け出は、開設していた人などが持参してほしいとのことでした。
この届出を提出するとともに、提出時に控えを貰ってくる必要があります。
控えを貰ってきたら、保険医療機関廃止届を管轄の厚生局に提出するときに、控えも一緒に提出します。
また、生活保護の対象の医療機関になっている場合には、区役所の保健センターに、生活保護法の法律指定医療機関の廃止届を提出することになります。
このように、普通の会社などの倒産手続きにはない、様々な廃止届を出して、病院が廃業したということを各所に通知していく必要があるようです。
ここまで様々な手続きをとる必要性があるのか?とも感じましたが、病院が廃業することは、地域の医療体制に多大な影響を与えるので、きちんと行政機関に報告をさせることで、医療体制確保を図る目的でもあるのかなと感じました。
これを学んでいて、弁護士は、弁護士会に届出を出しているだけなので、様々な手続きをとる必要性が少ないなと感じました。
病院の閉院については、様々な法律問題が絡んでくるようですので、閉院についての法律問題については、弁護士にご相談されることをお勧めします。
交通事故被害に遭われた方で、障害年金を申請する場合があります。
軽傷の場合は障害年金が問題になることは少ないですが、高次脳機能障害などを伴う、重傷事案になる場合には障害年金を検討することが出てきます。
良くある流れとしては、入院している病院で、介護などの相談にのる担当の方がいるので、その方から障害年金の申請を検討してみてはどうかと紹介されて申請することが多いようです。
もっとも、その案内をしてもらえない場合もあると思いますので、高次脳機能障害などを認定されるケースでは、障害年金の検討もしていくことも必要です。
障害年金の手続きの請求は、年金請求書や診断書、病歴・就労状況申立書を、年金事務所に提出します。
その他にも、第三者行為事故状況届や交通事故証明書や損害保険会社等への照会に係る同意書などが必要となってきます。
第三者行為事故状況届は、年金事務所で取得できますが、交通事故証明書というものは年金事務所で取得することはできません。
交番や警察署で「事故証明書を取得したいので、申込用紙を下さい」と言えば、申込用紙を貰えます。
申込用紙に必要事項を記入して、郵便局などでお金を払い込めば、郵便で送られてきます。
但し、事故から5年以上(物件事故だと3年)経過していると発行してもらえなくなるので早めに入手しておく必要があります。
障害年金については、自賠責保険での後遺障害等級とは異なる基準で障害認定がなされますので、自賠責で認定された後遺障害等級と障害年金で認定された等級が関連するわけではありません。
但し、自賠責保険で重い等級が認定されているケースの場合、障害年金でも重い等級が認定される可能性があります。
障害年金を検討される方は、弁護士に相談されてみることも良いかもしれません。
事故の加害者が任意保険に加入しておらず、そのまま死亡した場合、どのようになるのでしょうか。
特に、加害者が天涯孤独の身で、身内がいないような場合、どうすればよいのでしょうか。
加害者に不動産などの財産がある場合、この不動産を処分して、賠償金に充ててもらいたいと思います。
しかし、被害者が勝手に不動産を売却するわけにはいきません。
このような場合、相続財産管理人という制度を使うことが考えられます。
相続財産管理人とは、簡単に言うと、相続人となる人がいるかどうか不明の場合、亡くなった加害者の財産を処分してくれる人です。
家庭裁判所に申し立てをすることで、相続財産管理人を選任してもらいます。
そして、相続財産管理人に、亡くなった加害者の財産を処分してもらいます。
その財産を処分して得たお金で、被害者に対し、賠償金を払ってもらうことになります。
もっとも、相続財産管理人の制度は、簡単に利用できるものではなく、裁判所に支払うお金が数十万円(名古屋の場合70万円程度)のお金(予納金)が必要となってきます。
さらに、裁判所にお金を支払って相続財産管理人が処分した財産があまり高く売れなかった場合などは、賠償金を回収できない可能性もあります。
相続財産管理人の制度を利用して賠償金の回収を図るという法的制度はありますが、必ず回収できるかわからず、しかも、裁判所に多額の予納金をおさめる必要があることから、慎重に判断する必要があります。
このような負担を回避するために、自身の加入している保険で対応できるのであれば、自身の加入する保険で支払ってもらうということも選択肢の一つとなります。
お困りの際は、弁護士にご相談されることをお勧めします。
裁判は、第1審・控訴審・上告審というように、全部で3回裁判が受けることができるようになっています。
控訴審に控訴するとは、第1審の裁判所の出した判断の内容に不服がある場合、もう一度判断を求めるために裁判を起こすということを意味します。
控訴の期間は判決送達日の翌日から2週間以内に起こす必要があります。
控訴の期間が間に合わなければ、それだけで終了となるため、控訴期間の計算は極めて重要な作業となります。
最近は郵便事情が悪いので、私自身が、電車に乗って第1審の裁判所にまで控訴状を提出しに行ったこともあります。
では、附帯控訴とは、何なのでしょうか?
普通の控訴とは何が違うのでしょうか?
ざっくばらんに考えると、附帯控訴とは、積極的に第1審判決に文句があるわけではないので、控訴を積極的にするわけではないが、控訴されたのであれば、控訴された側が不満がある部分について、審理しなおしてくださいという制度です。
このように、附帯控訴をすれば、不利益変更禁止の原則が解消され、控訴した側に不利益な判断をすることができます。
この附帯控訴の良いところ(?)は、控訴の際に設けられていた2週間以内という制限が無く、いつでも附帯控訴をすることができる点です。
もっとも、附帯控訴はあくまでも、控訴審の手続きの存在が前提になります。
そのため、相手方が控訴を取り下げたりした場合には、附帯控訴も効力を失ってしまいます。
したがって、積極的に不服がある場合には、公訴を提起することをお勧めします。
控訴・附帯控訴について詳しいことは、弁護士に相談されることをお勧めします。