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日々思ったこと,皆様のお役にたてる情報などを書いていきたいと思います。


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交通事故後のレンタカー費用

交通事故被害のご相談の中で、よくあるご質問として車両の修理期間中や車両買替期間中のレンタカー費用に関するご相談があります。

保険会社の中には、「被害者側にも過失があるので、レンタカー費用は出ません」という説明をされている会社もあるようです。

しかし、この説明は適切ではありません。

レンタカー費用が認めらえるか否かは、過失の大小ではなく、レンタカーの必要性や、レンタカーの貸出期間や費用の相当性が問題になってきます。

レンタカーの貸出期間として、買い替えるまでの相当期間として1か月くらいが相当という見解もあります。

一般論としては、1か月くらいという話もあると思いますが、最近のように納車日が見通しがつかないとか、数か月かかるといった状況の下でも、同じように1か月と考えて、それ以上は自己負担してくださいと言ってよいのでしょうか。

今までは、新車納入期間が長期化することがあまりなかったので問題にならなかったのですが、コロナの影響などから、新車納入期間が長期化している現状において、レンタカーの貸出期間の相当性という問題点が出てきそうな気がします。

最近は、弁護士として交通事故業務をしている中でも、コロナが法律問題にまで影響してくることを感じています。



家栽の人

テレビを見ていると、家栽の人の新しいドラマが放送されていることを知りました。

私と同年代くらいの人で、高校時代に家栽の人の漫画を読んで法律家を目指したということを何度か耳にしたことがあります。

この「家栽の人」という作品は、ビックコミックオリジナルという雑誌に載っており、私の周囲の高校生は、結構この雑誌を読んでいたので、影響された人も多かったのではないかと思います。

最近は、ドラマや漫画で、弁護士・裁判官・検察官の世界を描いた作品が多数出ています。

ドラマや漫画などをきっかけとして、法律家の世界に興味を持って、法律家になろうと思う人が増えていけば良いなと思います。

 



高次脳機能障害について

交通事故により、脳挫傷など脳にダメージを受けた結果、記憶障害や注意障害などといった障害が生じることがあります。

このことを高次脳機能障害と呼びます。

高次脳機能障害は、交通事故分野ではよく知られているため、脳にダメージを受けたような場合には、この障害を疑うことになります。

しかしながら、被害者の方に生じている障害は、高次脳機能障害だけでないことも多いです。

脳にダメージを受けている場合、味覚・嗅覚・聴覚障害が併発していることもあります。

聴覚障害などは、聞こえにくくなるため分かりやすいのですが、味覚・嗅覚の障害については、意識して指摘しなければ見落とされることもありえます。

例えば、病院食はおいしくないという先入観があり、入院中の食事の味がしないということが、実は味覚障害が原因であったということもあります。

この味覚・嗅覚障害は、被害者の方が自ら医師に報告し、耳鼻咽喉科で検査を受けなければ、最後まで判明しないという危険性もあります。

そのため、脳にダメージを受け、高次脳機能障害と診断されたという場合、味覚・嗅覚・聴覚に関する異常はないのかを注意して観察すべきです。

そして、万が一、異常がありそうだという場合には、早急に、耳鼻咽喉科の医師の診察を受けるべきであると思います。

なお、交通事故における味覚の検査は、ろ紙ディスク法で検査を受けることになりますので注意してください。



2021サマースクール

私が所属している愛知県弁護士会では、今年は、小中高校生向けのサマースクールが開校されることになりました。

今年の開催日は、8月2日・8月3日・8月6日の3日間です。

(なお、サマースクールの申し込みはすでに終了しています。)

昨年はコロナの影響で、残念ながらサマースクールは中止されたのですが、今年は何とか開催できないかということから、WEBで開催されることとなりました。

開催される講座のメニューは例年と同じですが、WEB開催が初めてのため、様々な工夫をこらして開催にこぎつけたようです。

私が参加しているクイズ選手権でも、例年とは異なる方法で開催できるように工夫をされていました。

通常の仕事では、WEBでの裁判や依頼者様との打ち合わせを行うなどしており、ある程度WEBでの打ち合わせが慣れてきたところでしたが、クイズ選手権のような企画をWEBで行うのは初めてであるため、少し戸惑いましたが、WEBでも、参加者の方に楽しんで法律を学んでいただけるのではないかと思える準備ができたと思います。

あとは、当日に、参加者の方が楽しんで学んでくれればいいなと思います。

もっとも、来年こそは、WEBではなく、弁護士会館での対面式でのクイズ選手権が開催できればいいなと思いました。



EDR

先日、イベント・データ・レコーダー(EDR)が、2022年7月以降に国内で販売されるすべての新型車に搭載されるように、国土交通省が省令を改正するというニュースを耳にしました。

EDRとは、車の速度やエンジンの回転数、アクセル・ブレーキの踏み具合などを記録する装置です。

EDRがついていると、事故の直前に運転手がどのような運転行動をとっていたかが分かるとされています。

現在販売されている車の中にも、既にEDRがつけられている車はあります。

そのため、2022年以降義務付けるという省令改正は、現状追認のような感じがあり、EDR設置が義務付けられたからといって、車の値段が上がるという関係にはないような気がしています。

 

このEDRという装置は、運転手がどのような運転行動をとっているかを記録するため、事故の分析に役立つとされています。

東池袋で起こった自動車暴走による死傷事故でも、EDRのデーターが利用されていると言われています。

では、一般的な交通事故でEDRが活用されていないのはなぜでしょうか。

恐らくですが、EDRを分析してレポート化するCDRアナリストの数が足りないからだと思います。

EDRデータがあったとしても、それを取り出す人材がおらず、人材がいたとしても費用が高額になるとするならば、利用数が少なくならざるを得ないと思います。

そのため、交通事故の過失割合の判断には、EDRより、ドライブレコーダーの方を活用しやすいので、そちらが利用されているのだと思います。

交通事故を扱う弁護士としては、EDRの利用がより広まれば、より良い解決ができるのではないかと思います。

ちなみに、愛知県弁護士会には、EDRを研究するチームも存在しており、そこで詳しく研究されています。



高次脳機能障害

日弁連交通事故相談センターの高次脳機能障害相談研修会の参加してきました。

昨年はコロナの影響により中止されていた研修会でしたので、久々に開催された研修会でした。

内容としては、高次脳機能障害認定・等級評価の基礎と最近における等級認定変更裁判例の傾向という2本立ての講演でした。

それぞれの講演は、交通事故に精通されている弁護士による講演でしたので、大変参考になるものでした。

高次脳機能障害認定・等級評価の基礎は、高次脳機能障害問題の歴史的背景から始まり、高次脳機能障害に関する概念が医学的概念と行政用語の概念が存在していること、自賠責での認定手法などを、短時間でコンパクトに説明されており、非常に分かりやすい内容でした。

大変複雑な内容を、コンパクトに解説していただけたおかげで、頭の整理ができて高次脳機能障害に関する理解が進みました。

後半の最近における等級認定変更裁判例の傾向については、平成27年以降の多数の裁判例を検討したうえで、裁判でどのような変更がなされているかを分析されており、非常に有益な内容でした。

私自身が扱っている交通事故案件においても、高次脳機能障害の後遺障害を抱えられている依頼者様がいますが、裁判において争っていくうえでどのような点に着目していくべきかという点が、よりクリアに理解できたと思います。

今回の研修は、交通事故を取り扱う弁護士を対象にした研修でしたが、大変ためになる講演内容でした。

今後も、このような有益な研修・講演があれば積極的に参加していき、少しでも依頼者様のお役に立てるようにしていきたいと思います。

 

 



強制執行

交通事故に関する損害賠償請求を行っていると、加害者が任意保険に加入していないという事案にあたることがあります。

通常は、加害者が任意保険に加入しているので支払いを受けることに問題は起きませんが、任意保険に加入していない場合には、支払いを受けることが困難になることがあります。

物的損害に関しては、自賠責保険も利用できないので、賠償金の支払い確保は困難を極めます。

加害者相手に裁判をして強制執行をする方法がありますが、強制執行をするべき財産の調査はどのようにすればよいのでしょうか。

一つ目は、銀行などの第三者から情報を入手する手続きになります。

民事執行法207条に規定されていますが、判決を持っている被害者の方が、裁判所に情報提供手続をとることで、申立人が指定した銀行から、どこの支店に、いくら残高があるのかを回答してくれることになります。

二つ目は、財産開示手続きがあります。

この手続きは以前から存在しましたが、昨年から財産開示手続きに対して、拒否したり嘘をつくと刑事罰が科せられることになりました。

そのため、最近では、神奈川県で警察が検察官に送致したり、北海道で告発されていたりしており、民事裁判の結果を無視して逃げ得されないようになってきているようです。

このような手続きを利用して財産調査をしていくことになりますが、支払い能力自体が無ければどうしようもないので、交通事故を扱う弁護士としては、やはり自動車を運転する以上は任意保険には加入していて欲しいと思います。



MRIについて

弁護士業務をしているなかで、交通事故の被害者の方が、MRIを撮影することは多いです。

このMRIについて性能の問題というものがあります。

MRIの性能を示す単位として「テスラ」という単位があります。

このテスラの数が大きければ大きいほど、性能が良い機械ということになります。

今までに聞いた中で、一番低いテスラ数は、0.4というものがあります。

1.5テスラというMRIの数が多いようです。

3テスラになるとかなり数が限られてきて、大きな病院に行かなければならないようです。

過去に1.5テスラで撮影しても映らなかったが、3テスラで撮影してみると痺れの原因となる圧迫所見が見つかったというような事例もあり、機械の性能というものは軽視できないものがあります。

それでは、3テスラ以上のMRIは存在するのでしょうか。

調べてみたところ、2018年時点では、全世界で70台ほど、日本では、新潟大学・岩手医科大学・大阪大学・京都大学・生理学研究所などに7テスラのMRIが存在するようです(その後増えているか否かは、わかりませんでした)。

7テスラのMRIは、単純に考えても3テスラの倍以上ですので、より脳の状態が鮮明に見えると考えられることから、高次脳機能障害で画像所見が認められないなどの事案の場合に利用できるようになっていけば、より被害者救済が図られ、紛争解決に資するのではないかと考えます。

7テスラの機械は、まだまだ少ないようですが、3テスラの機械が普及してきているスピードからすると、近い将来、7テスラのMRIも普及してくるのではないかと期待します。

なお、キャノンメディカルシステムズという会社のホームページによると、同社のMRIは7テスラ相当の画質を目指し開発を進めていると書かれていたので、通常の3テスラの機械より鮮明化されているのかもしれません。



安全配慮義務について

最近、弁護士業務で、交通事故の相談だけでなく、プレス機に手を挟んで指を切断したなどというような、仕事中の事故による労働災害事件の相談にのることがあります。

労働災害事件について、交通事故と大きく異なる点として、そもそも使用者側が賠償責任を負うのかという点があると思います。

すなわち、交通事故の場合は、多くの場合、運転手の過失があるから事故が発生するため、運転手の過失の存在自体が争われることは少ないです(過失割合がどの程度かという点は、争われます)。

しかし、労働災害の場合、使用者である会社が、安全配慮義務を怠っていたか否か(そもそも会社に過失があるのか)が問題となってきます。

この安全配慮義務というものをどのように考えれば良いのかという点について、いろいろと文献を調べていたのですが、少し古いのですが興味深い文献がありました。

中央労働災害防止協会が編者となっている「裁判例にみる安全配慮義務の実務」という書籍です。

その書籍の中では、安全配慮義務の範囲を段階的に分け、労災補償義務の範囲と安全配慮義務の範囲が、どのような状態で分かれているかについて図示したうえで、具体的に解説されていました。

少し前の書籍であり、その後に出た裁判例をカバーしていないので、多少の変更点はあるかもしれませんが、安全配慮義務についてわかりやすく説明されており、理解が進む書籍であると感じました。

残念なことに上記書籍が絶版になっているため、古書店で入手するか図書館で借りて読むしかないのですが、安全配慮義務について知るために、良い本であると思いました。



ウェブ裁判

最近、地方裁判所の裁判において、裁判所から「ウェブ裁判を利用しますか?」と聞かれることが増えてきました。

このウェブ裁判というものの導入経緯は、次のような経緯です。

2018年3月に、裁判手続等のIT化検討会が、民事裁判手続きのIT化を3つの段階(フェーズ)を経て実現することを提言していました。

そこでは、2019年度中に、特定の裁判所で、ITツールを積極的に利用して争点整理の試行・運用を開始することとされていました。

そのような状況の下で、昨年からのコロナウイルスの猛威による影響もあるためか、ウェブ裁判の利用が急速に広まっていったというような印象を持っています。

では、ウェブ裁判とは、どのようなものでしょうか。

私がよく経験する場面は、訴訟の中で争点整理を行う場面(争点整理のための期日)において、ウェブを利用して行う場面です。

流れとしては次のとおりです。

マイクロソフト社のteamsというソフトをパソコンにインストールしておきます。

ウェブ裁判で進めると決まれば、事前に招待され、裁判の当日になったら、時間までにパソコンを立ち上げ、裁判所からの呼び出しに応答して、手続きを行うというような流れです。

最初は、使い方が分からず慣れませんでしたが、複数回経験することによって、利用することに抵抗感は無くなりました。

この手続きは、書面による準備手続きという現行法の制度を利用して行われています。

裁判所に行く必要がなくなるため、弁護士としてはありがたい手続きですが、ウェブ裁判の利用についてどこまで広がるのかが気になるところです。



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